研究助成

※これまでに提出された助成論文についてはこちらをご覧ください。

2020年度研究助成選考結果

 2020年9月30日を締め切りに公募した当研究所の一般研究助成には11件の応募がありました。選考委員会にて選考した結果、以下の2件を助成対象とすることに決定しました。ここではその概要につきまして、事務局でまとめたものを公表いたします。

都市部における「C型就労」の研究~地域共生社会と障害者就労の可能性について
研究責任者:野澤和弘
概要:近年、知的・精神障害者を支援する福祉事業所・施設の間で、仕事を通して障害者の社会参加や地域貢献を図ろうという取り組みが行われるようになってきた。「C(community)型就労」(地域貢献型就労)と称して、厚生労働省に対して新たな就労サービス類型として制度化を提案する福祉業界団体もある。C型就労は、それぞれの地域に根付いてきた地場産業や伝統文化を継承する形で障害者の就労の場を作り出すものから、独居の高齢者の買い物や庭の草むしり、話し相手など身近なものまで幅広い。まだ、「C型就労」の定義も確たるものがないのが現状だが、それぞれの地域の実情に合わせたものが模索されている。この研究では、地域の伝統産業があまりない都市部に焦点をしぼり、どのような形態の「C型就労」が行われているか、どうすれば発展し根付いていくのかを調査し、その課題と可能性について分析する。C型就労の実践例、課題、障害者や地域社会に及ぼす影響(効果)などについて調べ分析する。C型就労の課題と可能性、どのように発展させていくべきかなどの考察を盛り込み、政策提言や現場の法人の活動の参考にしてもらう。

実空間を介した間接的なコミュニケーションによる参加型まちづくりに関する研究
-福島県国見町貝田宿を対象として-
研究責任者:矢野拓洋
概要:本研究は、福島県国見町に形成されている集落、貝田地区におけるまちづくりの一環として、私有地に設えた間接的なコミュニケーションを促す装置が、住民のまちづくりへの参加に与える影響を明らかにすることを目的とする。主に、間接的なコミュニケーションを促す装置が、①集落の住民の行動にどのような影響を与えたか、②住民どうしの繋がりにどのような影響を与えたかについて調査する。新型コロナウィルスの拡大により、直接的なコミュニケーションをとることが困難になり、特によそ者が関わるまちづくり活動が停止する傾向にある。しかし、間接的なコミュニケーションを促すことで、コロナ禍においてもよそ者が関わる参加型まちづくりは可能なのではないだろうか。また、時間的拘束がない間接的なコミュニケーションは、子育て世代など普段時間が合わずワークショップや社会実験に参加することができない人々に対しても、参加の機会を提供することになるのではないだろうか。無人販売所など、実空間を介して間接的にコミュニケーションを促している装置を研究し、貝田地区で制作し実証実験を行う。制作には、貝田地区の住民が提供してくださる木材や工具を使う。調査は、期間を決めて定点カメラを設置し、装置がある場合とない場合とで住民の行動にどのような変化があるかを調査することに加えて、アンケート調査により、装置があることで集落内のつながりを感じる機会が増えたかなど、装置により変化した住民の行動がどのように住民どうしの繋がりに影響を与えたのかを明らかにする。

2020年度地域生活研究所一般研究助成事業のご案内

 地域生活研究所では、2020年度も消費生活やまちづくりなどの、当研究所が実施する調査・研究事業の研究テーマに関連する研究に助成する事業を実施します。詳細は下記の通りとなりますので、奮ってご応募ください。また、関心をお持ちの方へのご周知をよろしくお願いいたします。なお、応募書式につきましては、このページからダウンロードするか、研究所まで直接ご連絡ください。

(1)地域生活研究所一般研究助成とは

 地域生活研究所一般研究助成とは、地域生活研究所が実施する調査・研究事業の研究テーマに関連する研究に助成する事業です。本助成事業は、関連する研究の発展によって、東京都やその周辺の地域における市民の生活を向上させることを目的としています。

(2)応募申込書の提出

 対象となる研究分野に関して、研究を行いたいとする個人、および共同研究の代表者から応募を募り、それらについて選考の上、一般研究助成実施要綱に基づき、研究費の助成を行ないます。2020年7月に公示、応募申込書の提出期限を2020年9月30日(水)とします。

(3)研究奨励費の供与

 研究目的を達成するため、必要と認められる経費に対して、その一部を助成します。研究助成費は総額100万円とし、1件50万円を限度とします。ただし、当該研究プロジェクトが1事業年度を超えて実施することが必要と認められるときは、この限りではありません。

(4)応募者の資格

 一般研究助成事業が対象とする研究プロジェクトを実施する者は、広く一般の研究者および社会活動を行う者とします。特に、若手の研究者の方からの応募や、生協をはじめとした協同組合の事業・活動や様々な市民活動に資する内容の応募を歓迎します。

(5)対象となる研究の分野

 対象とする研究プロジェクトは、消費者の暮らしに関する研究、まちづくり、地域福祉、地球環境などに関する研究、市民社会や市民運動、社会運動、消費者運動などに関する研究、協同組合の事業や活動に関する研究といった、研究所が実施する調査・研究事業の研究テーマの基本的方向にそったものとします。

(6)選考と結果の通知

 応募者の研究課題について、助成対象者、およびそれぞれの助成額を選考委員会で決定します。その後、全ての応募者に結果を通知します。なお、審査期間は応募締切から概ね3か月以内を予定しています。
 助成対象者は、当研究所の研究誌『まちと暮らし研究』およびホームページで公表します。助成対象者は、直ちに研究所の指定する所定の書類を提出していただきます。
 なお、採否についての照会は受け付けません。

(7)報告論文の提出と公表

1.  特段の事情がない限り、研究期間は2021年12月末日までとし、報告論文の提出期限は2022年1月31日(月)、総字数は図表を含み12,000字以内とします。その際、1,200字程度の概要および簡単な収支報告書を併せてご提出ください。なお、2021年6月末日までに、中間報告として経過報告書を提出していただきます。

2.  地域生活研究所は報告の概要を地域生活研究所ホームページで公表するとともに、報告論文を『まちと暮らし研究』に掲載します。なお、報告論文の『まちと暮らし研究』への掲載にあたっては、修正、校正を認めます。また、研究所が加筆をお願いすることもあります。

3.  報告論文の『まちと暮らし研究』への掲載にあたり、助成対象者から希望がある場合には報告論文の査読を行います。なお、査読は『まちと暮らし研究』編集部が指定する複数の審査員により、別に定める『まちと暮らし研究』査読規程に則って行われます。ただし、査読に当たっては選考委員会であらかじめその可否を検討することとし、その判断によっては、査読を実施しない場合もあります。

4.  当研究所以外に発表する場合は、助成を受けた旨を必ず文面に付記するという条件で認めますが、当研究所が公表する以前の発表は認めません。

5.  2022年6月に開催予定の当研究所主催の「2020年度地域生活研究所一般研究助成事業 報告会」に必ず出席し、報告論文に基づき報告していただきます(なお、報告会はオンラインでの開催となる可能性もあります)。

(8)助成費の返還について

 研究成果の報告が締切期日を大幅に延滞した場合、申込み当初の内容と著しく異なる場合、既に他に発表済みのものを報告した場合など、本研究助成事業の本旨にそぐわない場合には、助成費の返還を求める場合があります。

*選考委員会の構成(敬称略・五十音順)

青山やすし(選考委員長・明治大学名誉教授)/堀越栄子(日本女子大学名誉教授)/村上次郎(生活協同組合コープみらい常務執行役員)/保井美樹(法政大学教授)

研究助成案内および申込書のダウンロード

 【助成事業案内および注意事項(PDF)】 【申込書(WORD)】

●提出締切:2020年9月30日(水)


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